Contax tvs フィルム

コスパ最強 お散歩カメラに最適なContax TVS

Contax TVSは外装にチタンを使った、バブルの恩恵を受ける高級コンパクトフィルムカメラ。

ズーム付きであったり、写りのインパクトの中途半端さ、サイズの大きさなどが相まってか、比較的に人気がないカメラです。

ただ中級コンパクトカメラを凌駕する写りで、価格も控えめなので、気軽に使うフィルムカメラとしてはオススメできるモデルです。

Contax TVS 仕様

発売年月1993年
型式35mmレンズシャッター式AEカメラ
レンズ28~56mm 6群6枚 カールツァイスT*バリオゾナー
絞り28mm/F3.5〜56mm/F6.5
撮影範囲0.5m~∞
フォーカスパッシブ式オートフォーカス、マニュアルフォーカス
ファインダー実像式ズーム 倍率/0.38~0.68倍 視野率83%
シャッター1/700~16秒(プログラムAE時) 1/500以下~16秒(絞り優先AE時。最高シャッタースピードは絞りにより変化する) 16秒以上の場合はバルブ撮影可能
露出制御絞り優先AE/プログラムAE 測光範囲0.4~17EV 測光方式/SPD素子による外部測光方式 露出補正/±5EV(1/3ステップ)
測光方式外部測光 SPD受光素子使用
測距方式パッシブ方式、AF補助光、フォーカスロック機構付
ファインダー型式逆ガリレオ式ファインダー、倍率および視野率0.5倍 85%(3m)
セルフタイマー電子式、作動時間10秒と2秒、途中解除可
電源3Vリチウム電池(CR123A)1本
サイズ123(幅)×67(高さ)×41.5(奥行き)mm
質量375g
価格170,000円

Contax TVSの特徴

なんといってもツァイス社のレンズを搭載したコンパクトカメラで、28~56mmズームレンズを搭載していることです。

日常的な撮影距離のほとんどに対応できるので、散歩カメラに最適です。

 バリオゾナーレンズの描写

ContaxのTシリーズ(T2、T3など)で搭載されているゾナーレンズ。TVSにはバリオゾナーというズームレンズが搭載されています。

TVSはT2の進化版として発売されたこともあり、レンズの描写はT2に近く、色乗りがよくて柔らかいですのが特徴です。

ただズームレンズなので焦点距離によってレンズの描写に違いはあるのですが、コンパクトなズーム機としては全域で楽しめる描写をするカメラといえるでしょう。

単焦点の高級コンパクトには負けますが、Bigmini(ビッグミニ)やTiara(ティアラ)など、中級のコンパクトカメラより描写は総じて良いと思います。

ズームレバー

Contax tvs フィルム

通常ズームレンズの焦点距離を変える際、レンズリングを回して距離を調整すると思います。

TVSはズームがリング式ではなくレーバーで操作するのですが、リング式より扱いやすいです。

このレバーは電源も兼ねているので、撮影するまでの動作がスムーズで、シャッターチャンスを逃す機会が減ります。(TVS2とTVS3はレバー式ではありません)

中古価格が安い

高級コンパクトカメラは価格が高騰しすぎて手が出しにくいですが、コンパクトともいえず、ズーム式のTVSは人気が低めです。

徐々に価格は上がってきていますが、現状3万円弱で購入が可能です。T2が7~9万円ですので、予算が足りない方はTVSの購入を検討してもいいと思います。

ファインダーが暗い

良くない点として、ファインダーが暗いです。TVS2以降はこの点が改善されています。

オートフォーカス音がうるさい

音はやや大きい程度なのですが、ちょっと耳に着く音です。

バリオゾナーレンズの特徴と癖

バリオゾナーは、一般的なズームレンズよりも焦点距離によって描写の差が大きいです。

この差を分からないまま使っていると、TVSの良さを出すことができないと思います。

28mm
周辺光量落ちがある、線が太い、色乗りが濃い、解像度が落ちる
56mm
解像度が高い、線がやや細くシャープ、鮮やかな発色、ちゃんとボケが出る

TVSは手動ズームなので(TVS3は電動)30mmでも42mmでも焦点距離を自由に変えることができますが、ワイド側の焦点距離に近づくほど28mmの特徴が出てきて、ズーム側に近づくほど56mmの特徴が出てきます。

個人的に28mmは癖がかなり強いので、少しだけズームした30~32mm当たりでの使用を推奨します。このちょいズームだけで写真がかなり安定しますし、ゾナーレンズらしい描写をしてくれます。

Contax TVS 作例

フィルムはコダックのPORTRA(ポートラ)を使用。ナイターの写真だけフジフィルムのISO800のものを使用しています。

contax tvs 作例

順光だと色乗りがこってり鮮やかで、シャドー部もまずまずの解像度です。

contax tvs 作例

マチュピチュです。標高も高く強い光も差し込んでいますが、全体的に上手く写していると思います。

contax tvs 作例

これは45mmぐらいのズームで撮影しています。色乗りは落ちますが、ワイド側よりクリアでシャープな描写になります。

これは晴れた日に露出を+2にして、ほんわか風に撮影したものです。彩度も出ていて、白飛びさせているのにしっかり解像しています。

コンタックスのレンズが最も得意なシチュエーションです。窓越しの柔らかな光で撮影すると立体感が出て、独特の色気を帯びます。

フィルムが苦手な夜です。ナイター照明が入る難しい状況ですが、露出を+プラスに振って色は薄いながらも、全体的な絵として成り立つように撮れました。

Contax T2との比較

TVSを購入する方はT2を検討されている人も多いと思いますので、比較していきたいと思います。

ズームを必要としない方には基本的にはT2をオススメしますが、日常的な写真を撮る場合、TVSはかなり使い勝手が良いカメラだと思います。

TVSはT2の後継機でもある

T2の正当な進化版はT3になりますが、価格の違いが大きすぎるのと、描写もかなり違います。TVSはズーム機ではありますが、T2での不満を解消しつつズームを搭載したカメラで、描写の傾向も似ています。

解像度や色気はT2

T2は色気のある描写でファンが多いカメラです。単焦点レンズなので解像度もTVSよりやや高いですし、色味や雰囲気はT2の方が良いと思います。

絞り開放付近はTVSの方が使える

T2の弱点として挙げられるのが、絞り開放付近の描写が緩すぎること。開放であるF2.8はもちろん、F4ぐらいでもちょっと緩すぎるなと思うことが多いです。

一方TVSは開放の描写が割が良いです。F3.5~4ぐらいの描写に関しては、TVSの方が安定した映りをすると思います。

TVSの方が接写ができる

T2の最短撮影距離は70cm。38mmの距離で70cm以上離れるとなると、人の顔をアップで撮ろうと思った時には全然寄れません。TVSはズームがあるので、その点は有利で、ある程度ボケのある写真が撮れます。

T2の方が小さいし、カッコいい

TVSに比べるとT2は一回り小さくて軽いです。デザインは好みがありますが、T2の方がカッコいいと思います。

測光精度

これは使い方にもよりますが、T2は露出の測光がスポット気味です。つまり測光している範囲が狭いので、ちゃんと画面内の露出を考えないと測光を誤ります。

ネガであればあまり問題ないのですが、ポジフィルムを使う場合は気軽なスナップカメラとしては使いずらいです。逆に言えば、カメラである程度シビアな露出設定ができるのがT2ともいえます。

ちょっと乱暴にまとめると、70点以上の写真を量産できるのがTVS。90点以上の写真が撮れるけど、60点以下の写真も量産してしまうのがT2といえるでしょう。