一般庶民には手が届かなくなったContax(コンタックス)のT3ですが、がんばれば買えた時代にT3を使っていたことがあります。
旅の途中で部屋に泥棒に入られて盗まれて以来、手元にはないカメラではありますが、作例を元にT3の良さや苦手な点、設定による描写の違いなどを解説していきます。
Contax T3の作例(ポートラ/プロビア)
ネガフィルムはコダックのポートラを使用。最後の1枚だけがフジのポジフィルム「PROVIA(プロビア)」になります。
ベトナムのチャンパ遺跡。天気はあまり良くありませんが、ある程度差し込む光の加減が優しいので、T3が得意とするシチュエーションです。
解像度も発色も素晴らしいです。
こちらもチャンパ遺跡内。草の雨露や葉っぱの描写など、デジタルの解像度の域です。
マレーシアの屋台。パッとしない写真ですが、シャドー部にノイズが走っていないのが、T3の凄いところ。
開放F2.8で撮影しているので、色ノリが控えめになり、全体的にふわっとした立体感に包まれます。
こちらも同じく絞り開放です。Contaxが得意とする柔らかい光なので、印象的な絵作りになっていますね。
ベトナム。曇り空で光も差し込んでいない状況なので、T3が苦手とするシチュエーションです。
解像度は十分ですが、陰影がないとT3の良さが発揮されないですね。
ベトナムの記念碑のような場所です。空に靄がかかっているのですが、晴れている状況です。こういう状況もあまり得意ではないですね。
とはいえ、これより上手く映してくれるカメラも限られますが。
カンボジア トゥルースレーン博物館。ちょっと手振れしていますが、室内に光が差し込むとT3の本領発揮です。
インドネシア ロテ島。強い日差しが完全に飛んでしまっています。解像度は素晴らしいですが、ノッペリした絵になってしまいます。
タイのリス族。逆光でアンダー気味ですが、なんとか粘ってくれています。女性のポートレートには少し硬い印象を受けます。
アンコールトム。この写真だけフジのポジフィルム「プロビア」を使っています。
朝日が出てまもない時間帯。こういう陰影がある場合で、朝日や夕日など差し込む光に温かみがある時は圧巻の描写力です。
ContaxT3の描写の特徴
解像度・描写
なんと言っても解像度が桁外れ。同時時代の一眼の単焦点レンズと比べてもT3の方が上だと思います。
コンタックスにしては線が細めの描写ですが、適度な厚みがあり、これだけの解像度を出しながらも硬すぎない描写です。
また夜の撮影や室内でも、ノイズが出ないのが凄いです。
色味
同じコンタックスのT2と比べると控えめですが、他社の高級コンパクトカメラよりは彩度が高いです。
引き締まった色合いで、恐らく黒の描写が強い。そのため、影がないと色はやや飛び気味で、コントラストが強すぎると黒が出過ぎることがあります。
窓越しの光、朝日、夕日
ゾナーレンズ全般に言えますが、優しい光源下での描写と立体感が素晴らしいです。
どんな状況でも破綻がなく、得意の状況ではホームランを連発してくれるカメラです。
ただ色気がないのと、破綻という課題を与えてくれないのが逆に愛しきれいないところでしょうか。