bellsofnewlife ken ishii

Bells of New Life 未来に繋がるテクノ – KEN ISHII

  • 2019年12月15日
  • music

正直なところテクノに未来を感じることはもうないんだろうし、個人的にテクノのほとんどは90年代に終わっていて、クラブで踊っていても心地良さを感じることはあっても、新しいものに出会ったような感覚はなかった。

90年代テクノをアップデートした素晴らしい作品は、00年代にも沢山あったし、当時はその可能性を感じて興奮もした。

ただ10年代に入ったぐらいから、流石に頭打ちの感は否めず、幅広い定義でエレクトロベースのダンスミュージックに新しさを感じることはあっても、テクノ直系の音楽から新しさを感じるものはあまりなかったように思う。

マイブラがロックと定義されるのと同じように「広義にテクノを解釈するのが本筋だよ」と言われてしまえばそれまでだけど、4つ打ち系テクノの匂いを感じさせるようなものは誕生せず、テクノ界にストロークスやリバティーンズは生まれて来ていないように思う。

広義のテクノという意味では、Arcaは凄いタレントだし、HVOBの特に初期なんかはどストライク。最近ではインダストリアル テクノをベースにしたDis FigのDJに惚れ惚れした。

 

そんな諦めムードの中リリースされたKEN ISHIIのニューアルバム「Mobius Strip」。

Twitter上で何度もそのリリース情報は流れてきたけど、興味は湧かなかった。直前にリリースされていたジェフ・ミルズのコラボ作品に何も感じなかったし、この曲こそがアルバムのメインコンテンツだと思っていた。

しばらくして偶然聴いた「Bells of New Life」。冒頭はやっぱり感に包まれた。

ただ幸運にも曲を流しっぱなしにしておいたのが良かった。

 

GALAXY 2 GALAXYの2枚組アルバムの最終曲「Afro’s arps & mini moogs」。これは個人的に未来に対しての音楽と解釈していた。そしてそれ以降、未来に対して音楽が鳴ることはなかった。

もう諦めていたが、自分が想像した形ではなく、もっと現実的で穏やかで、普遍的な未来というものがあったんだなと思わされた。

美しい。「Bells of New Life」。納得だ。