スーパーオーガニズム オロノ

SurperOrganism(スーパーオーガニズム)- 10代の不安定な才能はどうして心を揺さぶるんだろう

精神が不安定になる。このSurperOrganism(スーパーオーガニズム)のオロノという女の子を見ていると、どうにも心が泳いでしまう。また彼女を知ったきっかけが、Podcast「POP LIFE」でナビゲーターがタナソー(田中宗一郎)というのも、またやっかいだ。

※タナソー:元ロッキンオンの編集者で、雑誌「Snoozer(スヌーザー)」を立ち上げた人。

僕が最も音楽に依存していた18~22歳に、最も依存していた雑誌が「Snoozer(スヌーザー)」で、タナソーには思想的にもかなり影響を受けているので、どうしても気持ちが不安定な頃に戻ってしまう。

またこのオロノという女の子の魅力もそうだ。声を発しているだけで異質なものを感じてしまうし、その佇まいを見てしまうと虜にさせられる。

きっとこれは才能を持っている人へのジェラシーであり、そのジェラシーの対象が20歳も年が離れた僕から見ると少女だから、真っ直ぐなジェラシーとはまた違い、捉えどころのない気持ちが彷徨ってしまう。

それ故にか分からないが、もちろん性的にも、生的にも魅力を感じるけど、やはり対象が少女ということで、父親的な感情も湧いてきてしまう。

同年代の若者には、彼女はどう映っているんだろうか?きっと、僕のような感情になることはないろうな。

 

僕がまだ19歳だった時、全く知らないラジオ番組を聴いていて、ブラックミュージックに対して異常な知識量を持った女性が話していた。

トークも流暢で、番組終わりに彼女が16歳と紹介された時には、ただただ驚きしかなかった。

大学で身のない授業を終えて、ワンルームの安いアパートで退屈を感じながらラジオを聴いている冴えない大学生からすると、もう異次元のことにただただ感嘆するしかなかった。

それがデビュー前の宇多田ヒカルだった。彼女の才能は宇多田ヒカルとは別のものだが、若くして自分の意志が強く、10代が持っている世の中の多くへのフィルターを意に介さない点は似ている。

宇多田ヒカルが確信犯的に世の中を見通していたのに比べて、彼女はもっと無邪気で、不安定で、どこに当てることもない強い意志や意地があると思う。

それが彼女の声に現れているんだろうな。現在のポップスター星野源とフィーチャリングした曲でもその声の魅力は圧倒的で、星野源が霞んでしまっている。

少し質は違うが、ミスチルと桑田圭介が共作した「奇跡の地球」で、桑田佳祐の第一声を聴いた瞬間、「モノが違う」と思わされたのと、同じような気持ちになる。

また、SurperOrganism(スーパーオーガニズム)は宇多田ヒカルの「パクチーの唄」もカバーしている。日本語で歌っているからだろうか、この時は彼女が日本人の少女になっているように聞こえる。

やはりオロノは完成された存在ではなく、危うさを含んだ一過的なエネルギーが生み出しているんだろう。

戦略的に安定的なパフォーマンスを発揮するタイプではない。今後を不安にさせる、自分を父親のような気持ちにさせるからまた目が離せない。