プロビアは富士フィルムの定番ポジフィルム(リバーサル)として、デジタルカメラが普及する前は出版などの現場で定番のフィルムでした。
ポジフィルムといえば硬調で、コントラストが強いイメージがあると思いますがレンズ・光源・露出でかなり変わってきます。
そこら辺の違いを作例と共に見ていきたいと思います。
プロビア(PROVIA 100F)の特徴
今となっては独特な色合いに見えますが、ポジフィルムの中では自然な発色で、見た目に近い写りをするフィルムだと思います。
条件を選ばない万能的なフィルムと云えますが、ネガフィルムと比べると描写は硬く、コントラストも強めです。
ただ同じ富士フィルムのベルビア(Velvia)と比べると、大人しい描写で、初めてのポジフィルム撮影には使いやすいフィルムだと思います。
2018年に再販売されたコダックのエクタクロームがデジタルっぽい写りをすることもあり、今生き残っているポジフィルムとしては本命といえるフィルムでしょう。
プロビア(PROVIA 100F)の作例
レンズ:MF ZOOM NIKKOR 35-70mm
沖縄で撮影。ややアンダーでポジらしい濃厚な発色が出ています。地味ながら印象的な色だと思います。
安いレンズということもあり、キレや立体感はなくフラットな絵作りですが、個人的には好きな描写です。
レンズ:MF ZOOM NIKKOR 35-70mm
こちらは沖縄の座間味島。曇り空なので発色は地味ですが、穏やかなながら濃厚な描写をしています。
レンズ:Contax TVS Vario-sonner
インドのコルカタ。Contaxのバリオゾナーは線が太く濃厚な発色が特徴。
天気は晴れでしたが、やや日陰での撮影とインドの街の濃淡により強い色になっています。
レンズ:Contax TVS Vario-sonner
かなり日差しが強い状況です。アンダーに振れていることもあり、シャドー部がつぶれています。
レンズ:Ai Micro Nikkor 55mm F2.8
ニコンの銘玉であるマイクロニッコール。絞るとカリッとした描写のレンズなのですが、露出オーバーに振れているので爽やかな写りになっています。
レンズ:Ai Micro Nikkor 55mm F2.8
露出はややアンダー。光が差し込んでいて、対象となる人が多いので難しい状況です。でもポジフィルムらしい描写だと思います。
レンズ:Ai Micro Nikkor 55mm F2.8
これはややオーバーですね。光のコントラストも少ない状態なので、結構あっさりした描写です。
レンズ:Ai Micro Nikkor 55mm F2.8
ほぼ適正露出。インド人は掘りが深い人が多いので、順光じゃないとポートレートが難しいですね。
レンズ:Ai Micro Nikkor 55mm F2.8
ガンジス河。光が差し込んでいでいて、人も河もそれなりに写すとなると適正露出でしょうか。爽やかな写りです。
レンズ:Ai Micro Nikkor 55mm F2.8
東京の市ヶ谷辺りです。桜が散った後のお堀です。色味が鮮やか。日本の光はインドに比べると弱いので撮りやすいです。
レンズ:Contax TVS Vario-sonner
横浜スタジアム。こういう状況でもそれなりに写ります。
作例から見える特徴
改めてみると、色としては沖縄の物が良いですね。天気がそれほど良くないですが、影と映える色があるのでポジらしい描写になっています。
あとニコンのレンズが比較的線が細く、発色も控えめなのでポジフィルムの色の強さを中和しています。
Micro Nikkorはニコンの中でははっきりとした映りをするレンズなので、また違う描写になっていますね。
コンタックスは色が鮮やかで、ゾナーレンズは絵画的な描写をするのと、影がないとバキバキの描写になるのでインパクトの強い写りになっています。
光と影のバランスや光源の強さ、レンズの特徴で写りは大きく変わってくるので、これがプロビアだ!というのは分かりにくいですが、色んなポジを使っているとその平均値やレンズとの相性は分かってきます。
こちらの記事でいろんなポジフィルムを比較しているので、プロビア以外のフィルムの作例を見てもらうとよりプロビアの特徴がより分かり易いと思います。
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