カメラ屋さんから受け取ったフィルムデータやプリント写真って、完成形として受け取ってしまいがちですが、実はカメラ屋の作業者さんに色味や明暗を補正されているものになります。
デジタルカメラでいうところの「RAWファイルをカメラ屋さんが現像して、Jpegで書き出している」状態になります。
ネガフィルムはフィルムごとの規定に沿って現像(C-41とか)。出来上がったネガをフィルムごとの設定に沿って色を決めて、初めてカラーのプリントやカラーデータ化しています。
その際にカメラ屋さんが色の設定や明暗を補正しているので、自分が撮ったネガが、純正な状態でカラーに変換されている訳ではないのです。
なぜ補正するのか?
例えば緑が多い自然を撮影した場合、写真全体に緑の色がかぶり(偏り)ます。その色のかぶりを取るためにカメラ屋さんは色を補正します。つまり良い写真になるよう善意で補正をしています。
最低限、これぐらいは色被りを取ったデータにしてくれると思います。
また明暗も補正も同様で、暗い場所で撮った写真なんかだと分かりやすいですが、シャドー部の粒子がザラザラだったり、極端にコントラストが高い写真が出来上がったりします。
これは露出が不足しているものを、無理に明るくすることで情報がないシャドーに色を出したり、コントラストを高めることで、せめて明るい部分の色だけでも出そうとした結果です。
フィルムが持つ癖を補正したり、露出に失敗したネガを少しでも良い状態でプリントやデータ化しようとしたということになります。
そういう写真が出来てきた時は、「ネガのデータ、つまり撮影の露出決定を間違えていたんだ」と認識すると、次の撮影時の参考データになります。
プリント時の補正データ
どれぐらい補正したかは、プリントの裏のデータで分かります。
これは最初にプリントしてもらった色のイメージが違ったので、上が補正してもらったものです。
Nはノーマルなので、補正なし。ちょっと記憶が曖昧ですが、補正値は明暗・シアン・マゼンタ・イエローで構成されていたと思います。
つまりすべてがN(ノーマル)であれば補正されていない写真になります。
撮影意図が伝わらないこともある
カメラ屋さんやその作業者によって補正が変わりますし、あくまで標準的な色や明暗にしようとします。そのため、意図的に明るくした写真を暗くされることもあります。
例えばわざと露出オーバーに撮った写真を、
適正に近い形に補正されることがあります。
例えばフィルム1本全ての露出を2段階オーバーで撮影していれば、ネガの状態で作業者も判断できますが、数枚だけ露出を極端に変えたり、露出を1/3だけ変えても補正されてしまうかもしれないということです。
そのため、あくまで受け取ったプリントやデータは標準的なものになり、サンプルデータを受け取っていると考えると分かりやすいでしょう。
つまり、そこから補正をかけていって自分のイメージに近づけていくことになります。考え方はデジタルと同じで、補正できる範囲が狭いというになります。
また、フィルム全体に意図を持って撮影した場合は、現像の注文時にそれを伝えておくと自分のイメージに近いものになります。例えば「オーバー気味にしてください」、「緑を少し強めに出してください」とか。
依頼する場合は、カメラ屋さんにとっては手間がかかるお客さんになるので、丁寧にお願いし、極力何回もそのお店を使うようにしましょう。
ネガフィルムの補正オーダーの注意点
写真の明るさを見る際にオーバー・アンダーという言葉を使うと思います。オーバーが明るく、アンダーが暗いという意味で使っていると思いますが、ネガフィルムの露出を指定する際は逆の意味になりますの。
ネガに対してオーバーは、彩度を濃くすることを意味するので、露出はアンダーになります。アンダーは彩度を薄くすることを意味するので、露出はオーバーになります。
これを知っている方は年配者か、アナログプリントをされているプロになるのでほぼないと思いますが、以前アナログプリントのお店で明るくしたい写真を暗くされたことがあります。なので下手に+や-で指定するより、「明るくしたい」などの指示方法が良いと思います。
ブログなどの作例も想像力を持って見よう
よくカメラやフィルムの作例のブログで、かなりオーバーな露出にした写真を掲載したものを見かけます。
あれは補正して露出オーバーにしているか、露出オーバーで撮影しているため、カメラやフィルムの特性を見る際にはあまり役に立たたないものです。
本来は適正露出で撮影して、バランスの取れた状態に補正した標準的なものがあり、仮にオーバーで撮るとこう写ります。というのが正しい見せ方になります。
補正をかけた写真を見る際は、特殊なサンプルとして見るようにしましょう。