昔のブログを整理していて、小沢健二が活動を再開して初めて行ったツアー「ひふみよ」。
これは歴史に残して置くべきものだと感じ、救出することにしました。
しかし昔書いていたブログは自由ですね。友達の写真をばんばんアップしているし、基本知り合い以上の人の閲覧をベースにしているので、説明などなくて殴り書きに近い。
小沢健二「ひふみよ」
ライブツアー「ひふみよ」。後に音源がCDとしてリリースされているので、記憶にある人も多いと思いますが、小沢健二が長い沈黙を破って活動再開後1発目のコンサートツアーである。
WEB関係の仕事をしていた自分にとっては、ひたすら横スクロールにできるひふみよのWEBサイトに感動したことが懐かしい(当時はまだ僕はガラケーを使っていて、iPhoneは3GSの時代だった)。
時代的には、グローバリゼーションよって完全に搾取される側が明らかになり、それに警笛を鳴らしていた時のこと。
「企業的な社会、セラピー的な社会」。
2020年と今となっては、これが完全に世の中の中心となってしまった。
『ひふみよ 小沢健二 コンサートツアー 二零一零年 五月六月』
5月18日(火)神奈川・グリーンホール相模大野 ※追加発表
5月20日(木)神奈川県民ホール
5月21日(金)仙台イズミティー21
5月24日(月)中野サンプラザホール
5月25日(火)中野サンプラザホール
6月2日(水)札幌市民文化ホール
6月4日(金)中京大学文化市民会館オーロラホール
6月6日(日)神戸国際会館
6月7日(月)広島厚生年金会館
6月9日(水)東京・NHKホール ※追加発表
6月10日(木)東京・NHKホール ※追加発表
6月15日(火)新潟県民会館
6月17日(木)はまホール(旧浜松市民会館)
6月18日(金)大阪国際会議場メインホール ※追加発表
6月22日(火)京都会館第一ホール
6月23日(水)サンポートホール高松
5月24日(月)中野サンプラザホール
このコンサートツアーは抽選式で、当選後に喜々として友達にメールを送っていた。
その時に添付していた写真がこれです。
以下、当時のブログを少しだけ修正して、記載します。
コンサートの1曲目は流れ星ビバップ。
その第一声を聴いて、かれこれ15年間カセットやCDやMP3で聴き続けてきた声が、目の前から聴こえてきたことににんまりしてしまった。
ステージに照明が灯されるとひと目で彼とわかる姿があり、これまたひと目でわかるスカパラ陣とヒックスビルの女の人と小暮くんがいた。
「ご無沙汰してました」
と小沢健二が言ったように、あーーもうこれは完全にタイムトリップ。
これだけ待たされると、WEEZERに4年待たされた時のような感情にはなれない。
※「Pinkerton」以降アルバムのリリースがなく、「Green Album」のライブに行った時の心情。
僕はこういった再結成のようなものにはアンチだし、ビートルズ親父のような人間だけにはなるまいと思っていた。
今回のコンサートにしても、周りからの声でなんとなく盛り上がり、僕の音楽人生のきっかけを作った小沢健二だからこそ、運命を試すような気持ちで先行販売に応募してみた。
わかってはいたことだが、悪くないはずがない。一瞬「つま恋」に行って青春時代を取り戻しました。みたいなオヤジの顔が頭に浮かんだけど、ちょっと違うか。と、またにんまりしてしまった。
僕と小沢健二の一方的な関係を言うと、出会いは高校2年の時、山岡君の机に置かれていたポータブルCD
プレーヤーをなんとなく聴いたところ、そこに入っていたのが小沢健二の「LIFE」だった。
なんとなく見た目で敬遠していた小沢健二だったが、その時ゴリなどという、硬くて粗そうなあだ名だった僕が、一瞬にして心を持って行かれてしまったのだ。ポップの目覚めだ。
コンサートは進んでいく。
苦笑いしないわけにはいかない、小沢節は変わっていない。
小沢健二の歌詞について、天才的だという人はかなり多いが、(まあ完全に小沢教的な人ばっかりだけど)
僕はまったくそうは思わない。
むしろ上手い歌詞は全く書けない人だと思っていて、実際小沢健二の歌詞自体に心を打たれたことはない。
じゃあ僕がなぜ小沢健二が好きなのかというと、小沢健二という、ひとつのジャンルになってもおかしくない、
個性的な楽曲力と独自性で、あれを全力でやれる小沢健二が好きなのだ。
なので、小沢健二の楽曲の中での歌詞に感動することは何度もあった。
うまくは言えないけど、聴いていて、歌っていて、楽しい音楽はいつも傍にあるから、そこに色んな思い出がのっかって、特別な存在になったのだと思う。
そんな調子で僕は高校時代のことや、HEY!HEYHEY!のことや昔の彼女のことを思い出していた。
僕と昔の彼女の出会いは、小沢健二がきっかけだった。
インディーズのパンク・ガレージをメインに扱っていたレコード屋で働いていた彼女が、当時住んでいた福岡のカルチャー誌でレギュラーを持っていて、そこで人生ベスト5の2位に「LIFE」をあげていた。
もともと顔は知っていたが、そんなレコード屋で働くぐらいだから、かなり意外なチョイスだと、僕は本屋で立ち読みをしながら思っていた。(ちなみに1位はマフスで、3位はピーズだった)。
たまたま僕は仕事で彼女に会うことがあり、同じ系列のレコード屋で友達が働いていたので、なんとなく暇を持て余していた時、酒を持って彼女に家に向かった。
そこで流れていたのはガレージやロックだったが、ちょっとした話の流れで、彼女はダンボール中から宝物を出すように高校時代に買ったロッキンオンの「小沢健二2万字インタビュー」の号を目の前に差し出した。
そこから正式な手続きからは遠い、不順な過程を経て僕らは付き合うことになった。
そして時は流れた別れ際、彼女は大切にしていたLIFEのアナログ盤を僕に手渡した。彼女が原因の別れだったので、罪滅ぼしをしたかったのだろう。
文字にするといささか長いそんな記憶がコンサート中過ぎった。
肝心の曲目はというと、1st、2ndからが8割で、3rdの曲は1曲もやらなかった。僕が一番好きな「ある光」もサビを演出程度にギター演奏のみで少しだけ歌って終わった。
このコンサートのテーマは愛のようだ。そういう語りや曲だったと思う。
10年前に行っていたらなら、あれこれ思うところがあったのかもしれないけど、再会の時は懐かしく、そして楽しく流れた。
最後に印象的な場面があった。
「これを言ったら泣いてしまうから、言わないでおこうとおもったんだけど、……岡崎京子が来てます」
涙ながらに小沢健二は言った。